生成AIの現在地|2025年春・3DCG編
3DCG関連のAI性能の2025年時点まとめ
2025年5月31日

3DCGの領域も、今まさにAIの波が押し寄せている分野のひとつです。特に、静的なオブジェクトの単体生成やフォトグラメトリのようなスキャン型ツールの進化によって、これまで専門知識が必要だった3Dモデル制作のハードルが一気に下がりました。
最近では「1枚の写真から立体化」「テキストから3D生成」といった体験が、プロトタイピングレベルでは既に現実になりつつあります。この記事では、現在の3DCG生成AIの到達点と課題、そしてその先にある可能性について整理します。
主なサービスと機能・実用性
3Dモデル生成 (プロンプト・画像入力)
3DCG生成系のサービスでメジャーなものには、Tripo3D、MeshyAI、Hunyuan3Dなどがあり、それぞれ特性や機能が異なります。
tripo3d.ai
https://www.tripo3d.ai/ja
meshy.ai
https://www.meshy.ai/ja
以下はTripo3Dを使用した例です。PBRベースのマテリアルもある程度再現され、小物類に関しては、プリプロダクション用途では十分使えるクオリティで出力できそうです。


UV展開については、自動で展開されるものの基本的には単一マテリアル構成となっており、解像度や細かい精度を上げるには限界があります。また、テクスチャの貼り替えや質感の変更を伴う作業には不向きです。
直近、Tripo3Dは大きめのアップデートがありました。テキストや画像からワンタッチで生成できる機能のほか、パーツ分けやテクスチャの調整など、より細かい調整するフローに焦点の当たったUXになっています。トポロジーの精度アップなどもあり、より現場で使える機能に洗練しようとしていることがうかがえます。

キャラクター・リギング
メッシュ、テクスチャ、リグの精度にはやはり限度があるため、キャラクターは、そのまま使うことは現状難しいかもしれません。また、リギングについては、簡易的なボーン構造の自動生成が可能な一方、手足の自然な動きや関節ごとの制御、複雑なアニメーションとの整合性を取るにはまだハードルがあります。

特に独自形状(モンスターやロボットなど)を扱う場合には、典型的な形状から外れるため破綻が起きやすいのが現状です。背景キャラでの利用や、少し遊んでみるくらいの感覚で試すのがいいかもしれません。
なお、Meshy.ai では四足歩行の動物も対応しています。

モーションキャプチャ
動画からモーションを抽出するモーションキャプチャ系AIも様々なツールが登場しています。
deepmotion.com
https://www.deepmotion.com/
plask.ai
https://plask.ai/ja
以下は、動画生成AI「Runway」で動きのサンプルを作り、Plaskでモーションを抽出した例です。


そのままだと動きのブレが出てしまうため、補正は必要になります。Deep Motionでは足の固定やスムージングなどより精度の高い機能を使えるプランもあるため、フル活用すれば使えば使い勝手が上がりそうです。
背景
背景シーンのような複雑な空間や構成を一発で生成できるサービスは、現時点ではまだ存在しません。(3Dスキャン系のAIも関連トピックとしてはありますが、ここでは省略)。AIのSkybox生成や、3D生成のパーツを組み合わせて効率化していく、といったところが現状できることかもしれません。
blockadelabs.com
https://www.blockadelabs.com/

マテリアル
マテリアル、テクスチャの生成もいくつか存在し、個別のシーンに必要なものやバリエーションを作るのになかなか便利です。
poly.cam
https://poly.cam/


論文ベースの展望と研究の最前線
ここ1年ほどで3DCG生成AIは急速に進化しており、ツールを開けば新機能が次々と追加されている…と感じるほど、勢いがありました。
現段階では下絵やたたき台としての利用や、背景オブジェクト、静的なモック用モデルといった限定的な用途にとどまる場合がほとんどですが、近いうちにある程度実用で使えるようなものになっていくかもしれません。
現状の課題の多くも、論文ベースですでに多くの突破口が示されています。
メッシュ生成の高度化
NVIDIA による「Meshtron」では、3DCGアーティストが手作業で最適化する美しいメッシュの構造を作るための可能性が示されています。
meshtron.github.io
https://meshtron.github.io/
適切なUV展開
同じくNVIDIAによる「AUV-Net」では、3D形状に対して整合性のあるUV展開を可能にする技術が開発されており、マッピング精度が大幅に向上する可能性があります。
research.nvidia.com
https://research.nvidia.com/labs/toronto-ai/AUV-NET/
空間生成
空間生成については、NeRF や Gaussian Splatting を用いた空間生成のほか、自動構成のような研究も進んでいます。UnityやUnrealとの連携によって、仮想空間を丸ごと自動生成するような未来像も現実味を帯びてきています。
最後のハードルは「活用できるかどうか」
AIによって「作る」部分のハードルはすでに大きく下がりました。これからは、それをどう使うかが問われるフェーズに入っています。現在、3DCGをAIで生成できたとしても、それを実際の制作現場で使おうとすると、ほぼ必ず Blender や Unity のような専門的なツールを通す必要があります。しかし、これらを使いこなすには専門知識が不可欠で、初心者にとっては圧倒的なハードルがあります。せっかくAIで良いモデルができても、それを活かす“出口”がまだ整っていない。これは今の3DCG生成における最大のネックの一つです。
だからこそ、今後本当に必要とされるのは「生成」そのものではなく、「どう活用できるか」を設計する側の進化といえそうです。