UI/UXデザインの新時代 ー触りながらAIと見つける
企画・デザイン・実装の分業が溶けたとき、UI/UXの現場で何が起きるのか
2026年7月24日

形にしながら正解を探す新しいUI/UX設計ワークフロー
アプリやUI/UXの領域でAIを語るとき、「速く、安くつくれる」ことだけを論点にするのは、少しもったいない気がします。私が注目しているのは、企画、デザイナー、エンジニアといった分業を溶かし、一体化したUI/UXデザインができるかもしれない変化です。
実際、私自身も最近はAIでプログラミングまで実装することが増え、LPから業務効率ソフトまで、使いながら修正し、プレビューしながら、その場でUIを変えるのが日常的になってきました。
従来の制作では、小さな変更にも、説明、依頼、見積もり、反映、確認が発生します。試すためのコストが高ければ、すでに実績のある設計や、世の中で正解とされているUIへ近づけるのは合理的でした。いまは、画面を変えると体験の流れが変わり、流れを変えると企画そのものの見え方まで変わっていく。その変化を確かめながら、設計と実装を同時に更新できます。
これは、決めた正解を速く形にするというより、形にしながら正解を探すワークフローです。
一つの目的に特化したマイクロアプリ
たとえば、これは特定の形式の動画をつくることに特化した、小さなアプリの試作です。
生成AIは進化が速く、どのツールを選べばよいのか、どんなプロンプトを書けばよいのかを追い続けるだけでも大変です。そこで、モデルの選択やプロンプト設計の一部を、裏側のAPIと制御へ組み込み、目的とするアウトプットを出しやすくしています。
従来なら、用途が限定されたアプリは、開発コストに見合わないものになりがちでした。しかし、いまは目的ごとに小さなアプリをつくることも、現実的な選択肢になりつつあります。
ユーザーを汎用的なAIツールに合わせるのではなく、AIを個別の用途に合わせて包み直す。マイクロアプリには、そんな可能性があります。
ポートフォリオを「Netflix」にする
試作した映像やゲームは、Netflixのように一覧し、回遊できる独自のポートフォリオへ。ブログ記事も、既存の投稿サービスだけに頼らず、自社メディアとして世界観から設計しています。
既存のプラットフォームには、偶然発見される可能性があります。一方で、共通のフォーマットへ収める以上、作品同士の関係や、伝えたいメッセージ、ブランドの空気まで表現することには限界があります。自社メディアをつくるハードルが下がれば、何を見せるかだけでなく、どの順番で、どんな文脈とともに出会ってほしいのかまで設計できます。
コンテンツだけではなく、それを見せる「器」もまた、UI/UXであり、表現の一部になるのだと思います。
contents-viewer.chaosru.com
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ブラウザ×スマホマルチプレイゲーム
ブラウザ上でゲームを立ち上げ、参加者がQRコードからスマートフォンで接続する。そんな小さなマルチプレイゲームも試作しています。
ブラウザゲームもQRコード参加も、以前から存在する技術です。ただ、ひとつのカジュアルなゲームのために通信機能まで実装するとなれば、どうしても費用や手間に見合いませんでした。
技術的には可能でも、その規模では割に合わない。これまでは、そんな理由で実装されなかった体験が数多くあったのだと思います。
AIが下げるのは、既存のものを安くつくるためのハードルだけではありません。これまで「そこまでやるほどではない」と見送られてきた、小さな工夫を実際の体験へ変えるためのハードルでもあります。
新しいUI/UXは、新しいつくり方から生まれる

三つの事例に共通しているのは、AIがまったく新しい技術を発明したことではありません。採算や手間、分業の都合によって見送られてきた発想を、実際に触れられるインターフェイスまで運べるようになったことです。
試行錯誤のコストが下がれば、企画を既存のUIやプラットフォームへ押し込む必要もなくなります。目的、コンテンツ、使われる場所に合わせて、インターフェイスそのものをつくり直せるようになる。
新しいUI/UXは、AIが提示する完成画面からではなく、企画、デザイン、実装が溶け合い、小さな違和感や思いつきをすぐに試せる、新しいつくり方から生まれてくるのだと思います。


