過去に置いてきた未来を、もう一度 ー ヒットの外側にある、創作の未来
古い夢を見直す ー 挫折した夢のコスト
2026年7月17日

AIをめぐる議論は、いつも少し大きくなりがちです。仕事がなくなる。産業構造が変わる。人間の価値が問い直される。どれも、考えなければならない大切な問題です。
けれど、AIを実際に使っていると、もっと小さくて、個人的で、純粋な気持ちが戻ってくることがあります。
昔つくりたかった映画を、いまからつくろう。途中で諦めたゲームを、今度こそ完成させよう。誰かに頼まれたわけでも、売れる保証があるわけでもない。ただ、自分が見てみたいからつくる。
AIは、そんな創作の時間を、もう一度呼び起こしてくれるものにもなるかもしれません。
つくりたかった、小さなゲーム
何年か前、仲間と『真夜中のティモ』という昭和の絵本風のプラットフォームゲームをつくっていました。真夜中に目を覚ましたパペットが、街や森を抜け、サーカスへ向かう小さな物語です。
途中まで制作したものの、日々の忙しさに紛れて結局完成しきらないまま、長い間、止まったままになっていました。去年からAIのプログラミングは手掛けていましたが、そういえばと思い、昔作った素材を引っ張り出してAIで作り直してみることに。すると、想像以上の実装できたので、ついつい夢中になって作り、純粋な遊び心だけで、取り急ぎ完成形まで持っていきました。
AIと未来、そんな難しいお題からは完全に離れ、あの頃には届かなかった場所へ行く。それは、ただただ心地よい時間でした。
小さな完成を、みんなで囲む
昔の夢。それは、大きなヒットにはならないかもしれないし、売れないかもしれないし、トレンドにはならないかもしれない。
けれど、それでいいのだと思います。
かつて見た小さな夢を完成させ、近くの人たちと遊び、「できたね」と笑い合う。一度は諦めた夢を拾い上げ、自分たちの手元で完成させる。世界を変えなくても、自分たちの時間を少し明るくする。
そんな作品が増えていく未来も、きっと豊かなAI時代の創作のかたちのひとつなのだと思います。